* The Sixth day *





**朝

[ ベルケンド(い組は関係ありません) ]

ル: …で、何で唐突にベルケンドなんだ?
ガ: こないだアルビオールの修理したろ? そん時に見た内部の機構でどうしても気になる所があるから、調べたいんだと。
ル: …誰が?
ガ: …ジェイドが。
ル: ……お前じゃなくて?
ガ: ………。
ジェ: (遠くから)何をしているんですか? 早く行きますよ!
一同: (うわァ、キャラじゃねェ!)


[ 第一音機関研究所前にて ]

ジェ: 私はここで調べ物をします。…多分一日がかりだと思うので、皆さんも自由行動、という事にしましょう。
一同: ……。
ジェ: …どうしました?
ガ: あ、あァいや、何でもないよ。…そうだな、俺はジェイドと一緒に研究所に行くよ。皆はどうする?
ア: 私とイオン様は取り敢えず宿に行ってみます。
ナ: あ、それでしたら私も行きますわ。荷物も置きたいですし…。
ティ: 私は…
ル: あ、ティア、もし予定がないんなら特訓付き合ってくれよ。
ティ: え、ええ……そうね、そうしましょうか。
ガ: 決まりだな。じゃあ、夕食に間に合うように宿に集合、でいいか?
ル: 一番遅れてきそうな奴が何言ってんだよ。
ア: 言えてる! ガイは音機関の事になると目の色変わっちゃうもんね〜。
ティ: でも、ガイの知識には随分助けられてもきたわよね。
ナ: そうですわね。
ガ: はは…貶されてるんだか褒められてるんだか。
ジェ: うんうん、皆さん仲良しですねェ。
ガ: アンタはまたそういう…
ア: ねーそろそろ解散にしようよ。折角の自由時間が勿体なァーい!
ル: そうだな。行こうぜ、ティア。
ア: イオン様、私たちも行きましょう。
ナ: …私もいましてよ。
ア: 判ってるよーだ。
ジェ&ガ: ………。
ジェ: 行きましたか?
ガ: …あァ…。
ジェ: では、私達も行きましょう!





**昼

[ 街外れの場合 ]

ティ: ……そこまで! 随分制御が安定してきたわね。
ル: ああ、ティアのおかげだよ。
ティ: 私はっ…何もしてないわ。あなたが頑張ったからよ。
ル: ……。
ティ: ……。
ル: ……にしてもさ、ジェイドの奴どうしちまったんだろうな?
ティ: え!? あ…その…大佐が、どうかしたの?
ル: 元々ああいう馬鹿騒ぎしてる時は口挟んでこねェけど、今日は何つーか…心ここにあらずって感じだっただろ?
ティ: そ、そうかしら…何か調べたい事があると言っていたから、それが気になっていたんじゃないの?
ル: …そうなのかなァ…いや、でもさ、ガイそっくりだったよな?
ティ: !?
ル: ほら、パッセージリングのとこで創世暦時代の音機関の動いてる奴見つけた時さ、あんな感じだっ…た…って、ティア?
ティ: なっ、何でもありません!
ル: …いや、別に何も言ってねェけど…
ティ: ……ばか…。


[ 宿屋の場合 ]

ナ: お二人はこの後どうなさいますの?
イ: …僕は、少し疲れたのでここで休んでいます。アニスはナタリアと買い物にでも行ってきたらどうですか?
ア: …イオン様を一人にするわけには、
イ: 僕は構いませんよ。アニス、行きたいのでしょう?
ア: ぶー…判りました。その代わり、部屋から出ないで下さいね?
イ: 判っています。
ナ: ふふ、皆さん今日はどなたも子供のようですわね。
ア: どーゆー意味よ!
ナ: 普段は分別があって落ち着いている大佐もガイも、今日は随分とはしゃいでいましたもの。
ア: …そーいえばそうだね。…お互いに似てきたって事かー…。
ナ: ? 先日もそう言っていましたわね?
ア: …うん……まァ…
イ: ……。
ア: イオン様? どうしたんですかァ?
イ: いえ……その、当たらずとも遠からず、というのは、この事かと…。
ナ: 何がですの?
ア: 大佐がガイみたいでガイが大佐みたいだー、って事ですか?
イ: ……いえ。すみません、何でもないんです。
ア&ナ: ?


[ 第一音機関研究所の場合 ]

ガ: ……ガイ、浮かれすぎですよ。
ジェ: あァ、悪ィ悪ィ。
ガ: …ちゃんと聞いていますか?
ジェ: 聞いてる聞いてる。
ガ: ……判っていますか?
ジェ: 判ってる判ってる。
ガ: ………好きだ、ジェイド。
ジェ: 知ってる知って……って、お前何を…っ!
ガ: あァ、一応聞こえてはいるんですね。
ジェ: そういう問題じゃないだろ!
ガ: 資料は見つかりましたか?
ジェ: ……多分、これだと思う。
ガ: 何がそんなに気になっていたんですか?
ジェ: アルビオールのさ、内部の配線見たろ?
ガ: ええ。
ジェ: あれはさ、エネルギー効率とかの面からいくと相当無駄が多いんだ。シェリダンの職人達がその事に気付いていないはずもないからな、何か理由があるんだろうと思って。
ガ: 強いてエネルギー効率を犠牲にしなければならない理由、ですか。
ジェ: そういう事。
ガ: …あなたは本当に音機関が好きなのですね。
ジェ: 好きっつーか…まァ、好きだな。
ガ: …そうですか…。
ジェ: ジェイド?
ガ: そろそろ、話してしまいましょうか。
ジェ: へ?
ガ: 皆に話して、元に戻る方法を探しましょう。戸惑いはあるでしょうが、ま、彼らなら大丈夫でしょうし。
ジェ: ちょ、ちょっちょっと待てよ。何でいきなり…
ガ: 嫌なのですか?
ジェ: 嫌とかそういう事じゃなくてだな…
ガ: 私はね、気付いたんですよ。
ジェ: …何を?
ガ: 私は、あなたとして笑うあなたが好きなんです。そして、思った以上に私はそれを希求している。切望しているんです。
ジェ: なっ……
ガ: 皆に話しましょう。そして元に戻れたら…また、あなたの笑顔を見せて下さい、ガイ。
ジェ: …恥ずかしい奴…っ
ガ: 嫌なのですか?
ジェ: だから違うっつってんだろっ……ばかジェイド…。





**夜

[ 夕食の席にて ]

ジェ: 皆さん、ちょっと聞いて頂けますか?
ア: んー? どーしたんですかァ?
ジェ: 実は…その、ずっと黙っていたのですが…
ガ: 今日二人で話し合ってさ、やっぱ言おうって事にしたんだ…聞いてくれるか?
ル: 勿論。…つーか、お前ら二人の共通の秘密なんて想像つかねーんだけど。
ティ: 大佐! まさか…
ア: ガイとの婚約発表とか!?
一同: ………。
ア: あ、あれ? 違うの?
イ: …アニス……ティアも、取り敢えず二人の話を聞きましょう。
ガ: あー…その、驚くなよ?
ナ: 何ですの勿体ぶって? 聞かない事には、此方も対応出来ませんわよ。
ガ: ………ふむ、それもそうですね。
ジェ: っていきなりそれかよ!
一同: ………え?
ジェ: だからつまりだなァ…
ガ: 私がジェイドで、
ジェ: 俺がガイなんだよ。
ティ&イ: ……(溜息)





ア&ル: ええぇえぇえぇぇええぇぇええーーーーーーっっ!!!





ナ: どっ、どういう事ですの…?
ガ: それが私達にもさっぱり。ある日朝起きたらこうなっていましたので。
ティ: もう…五日、かしら。それくらいになりますよね?
ジェ: やっぱりティアとイオンは気付いてたんだな。
ア: えぇええ!? イオン様、なァんで教えてくれなかったんですかァ!?
イ: はは…すみません。他言はしないと約束してしまったので。
ジェ: ………ルーク? どうしたんだ?
ル: …こっちがガイで…こっちがジェイド? いやでも、こっちがジェイドで…でもガイで……けどガイはこっちで……
ティ: ショックが大きかったみたいね。
ジェ: はは…。
ア: ってゆーか大佐ァ、今までずーーっとガイの演技してたって事ですよね? ガイも…
ガ: ま、そういう事ですね。
ナ: まあ…全然気付きませんでしたわ。ねえルー……
ル: 俺はっ…俺は、やっぱり何も判ってなかったんだな…。
一同: ……。
ティ: …一晩経てば落ち着くでしょ。…ほっときましょう。



『今日、ちょっとだけ仲間を信じていいのか疑問になった。
 大体何で皆そんなにあっさり受け入れてるんだよ! 判んねェよ!!
(ある日のルークの日記より)








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