* The Fifth day * **朝 [ まだケテルブルクですよ ] ジェ: ん―――… ガ: いつまで寝ている気ですか? 起きて下さい。 ジェ: あー…アンタ相変わらず早いよな… ガ: あなたが朝寝坊なんですよ。 ジェ: …俺、アンタの寝顔とか見た記憶ない気がする… ガ: 私はいつもあなたの可愛ーい寝顔を堪能していますよv ジェ: 黙れ。 [ 身支度をしよう ] ガ: ……。 ジェ: …何だよ。 ガ: …不器用ですね。 ジェ: 無茶言うな! ガ: 別にそんな難しい事はないでしょう? ジェ: アンタと一緒にすんな! ガ: ……やれやれ、我侭ですねェ…貸して下さい。 ジェ: …… ガ: どうして髪を立てることは出来るのに真っすぐ梳かす事は出来ないんですか? ジェ: …勝手が違うんだよ…つーか、何でアンタはそんな苦もなく"俺"の髪型が出来てんだ? ガ: 五日目ともなれば慣れます…あァ、動かないで。 ジェ: 痛っ! ガ: 失礼。絡まっていたもので。 ジェ: ……よくこんな面倒なことする気になるな…。 ガ: その台詞、そっくりあなたにお返ししますよ。 ジェ: …何かさ…嫌なんだよ。 ガ: 何がです? ジェ: ……俺の所為でアンタの髪が傷むとか…そういうの。 ガ: ………。 ジェ: なっ、何だよ黙るなよ。 ガ: ガイ…あなた、自覚はないのですか? ジェ: は? 何の? ガ: …いえ、何でも。愛されているなー、と実感していただけです。 ジェ: 寝言は寝て言え。 ガ: ふむ…生憎、私が眠っている時はあなたも眠っていますが、 ジェ: あああもう言うな黙れ。 ガ: 黙れとか黙るなとか、我侭ですねェ。 ジェ: 誰の所為だ誰の! ガ: ……はい、出来ましたよ。 ジェ: …っ…このオッサンは…っ! [ 勢揃う(動詞化) ] ナ: あら、噂をすれば、ですわね。 ガ: おはようナタリア。…噂って、何の? ナ: 珍しくあなたと大佐が起きていらっしゃるのが遅いので… ア: どーしたのかなー、っては・な・しv ジェ: ……。 ガ: ははっ、悪い悪い。 ア: ……あれーガイ、ちょっとちょっと… ガ: っな、ななな何だよ!? ア: ……やっぱり…。 ナ: 何が"やっぱり"ですの? ア: ガイから大佐の香水の匂いがする! ジェ: !? ナ: まァ! …ガイ…あなたもしかして… ガ: な、何だい…? ナ: 大佐を見習って身だしなみに気を使うようになったのですわね! 紳士の嗜み…素晴らしいですわ! ジェ&ガ:……。 ア: …流石ナタリア…。 ナ: 是非ルークにも見習って頂きたいですわ…ルーク! ルーク、何処です? ガ: ナ、ナタリア……行っちまった。 ジェ: …わ、私達も行きましょうか。 ア: 大佐ァ、アニスちゃんは誤魔化されませんよ〜v ジェ: アーニスv 何の話ですかー? ア: とぼけないで下さいっ! 香水の話ですよう! ジェ: あァ…その事ですか。 ア: 大人しく白状して下さい! ジェ: …ガイ! 説明してあげて下さい。 ガ: ……あー…別に期待されるような面白い事はないんだが… ア: 御託はいいから早く! ガ: 俺がさ、旦那の香水瓶を倒して零しちまったんだよ。 ア: ふえ? ガ: で、それを片付けやら何やらしてたから、その所為じゃねェかな。 ア: ……そ、それだけ? ジェ: それだけですよ。 ア: ………。 ジェ: ………。 ア: …なァんだー…つまんないのー。 ジェ: つまらないとは心外ですね。 ア: ぶーっ、次はこうはいきませんからね! ガ: ……やれやれ…。 ジェ: ……。 **昼 [ エンジョイリゾート計画 ] ア: というわけでェー…ケテルブルク名物会員制高級スパにやって参りましたァーv ル: …何が"というわけ"なんだ…? ティ: さ、さァ…? ア: そこ! ごちゃごちゃ言ってないで着替えて着替えて! ナ: 強引ですわね…。 ア: ナタリアもだよ! …ほらァ、大佐もガイも! たまには息抜きも必要ですよね、ねっv ジェ: ……。 ガ: …こうなったら止められないな…。 [ レッツエンジョイリゾート sideA ] ル: おーいつもながら凄ェよなーここ。 ナ: 本当…雪国とは思えませんわね…。 ティ: …ルーク…そのタオル…。 ル: これか? また置いてあったからさ。 ティ: …そ、そう…。 ア: にしてもー大佐達遅ーい! 何やってるんだろう…。 ナ: 大佐はまた一足先に行っているのではありませんの? ア: …ガイも? ナ: どうでしょう…そうかも知れませんわね。 ア: ……ちっ、先んじられたか。 ル: 何ごちゃごちゃ言ってんだよ、俺らも行こうぜ! [ レッツエンジョイリゾート sideB ] ジェ: …これ、物凄く落ち着かねェんだけど。 ガ: 我慢して下さい。 ジェ: 前見た時はバスローブってかスリッパに気ィ取られてたけど… ガ: それ以上言わないで下さい。 ジェ: ……。 ガ: ……。 ジェ: ……そっちはどうだ? ガ: 悪くはないですが趣味ではないですね。 ジェ: 言うと思った。 ガ: 前見た時も似合うと思いましたが… ジェ: が? ガ: こうして改めて見ると、線が細くて綺麗ですね。 ジェ: っ…そういう事を言うか…。 ガ: 根が正直なもので。 ジェ: …ばーか。 **夜 [ エンジョイリゾートその後 ] ジェ: 反省会をするぞ! ガ: わー(ぱちぱち) ジェ: …おちょくってるのか? ガ: 気のせいです。 ジェ: ……。 ガ: 今日は特に問題はありませんでしたね。 ジェ: …そうだな。 ガ: スパは予想外でしたが…ま、事なきを得たといった所でしょうか。 ジェ: まさかアニスが香水に気付くとは思わなかったがな。 ガ: おや、私はそれは見越していましたよ? ジェ: …はい? ガ: アニスが私達の関係を疑っていると言ったでしょう? だから、ああいった事には食い付いてくると思いまして。 ジェ: …つまり、わざとだったって事か? ガ: その通り。いやァ、話が早くて助かりますよ。 ジェ: …何の為に? ガ: 決まっているでしょう? 楽しそうだったからです。 ジェ: ……。 ガ: おや、どうしました? ジェ: いや…何かもう色々どうでもよくなってきたなー、と思って。 ガ: それはいけませんねェ。 ジェ: …いつになったら元に戻れんだろうな…。 ガ: …そればかりは私にも判りません。…ですが、そう悲観する事もないでしょう。 ジェ: 悲観してるわけじゃ… ガ: 判っていますよ、ガイ。 [ その頃 ] ティ: イオン様…あの二人はいつになったら元通りになるのでしょうか…? イ: そうですね…僕には、何とも言えません。 ティ: あの二人…お互いに悪影響を及ぼすという事はないのでしょうか? イ: …ない…とは言い切れませんね。精神…特にガイの精神がジェイドの身体の音素に耐え続けられるかどうか…。 ティ: …譜眼! そんな…それじゃあ… イ: 落ち着いて下さい、ティア。…悔しいですが、僕らは見守るしかありません。 ティ: …はい…判って…います…。 イ: 彼らを信じましょう。彼らの…強さを。 ティ: ……。 ⇒The Sixth day |