長くは一緒にいられない彼を家へ招いたのはただの気紛れ。
 普段より少し低めにエアコンの温度を設定して、隣に座って取りとめもなく沢山の話をした。
「夏は苦手」
「うん、僕も」
「あの子達は?」
「あの子達は夏の方が元気なくらいだよ」
 長く一緒にいると似てくるっていうのにね、と。
 苦笑いとともにそう言って彼は笑った。
 つられるように私も微笑えば、彼はちょっと照れたように大きな手で私の頭をぽんぽんと撫でる。
 そうされるのは、とても好き。
「何だか似てるね」
「何が?」
「僕とかごめちゃんが。ずっと、一緒にいたわけじゃないのに」
「…似てる?」
 何処が?と問えば、彼は少し間を置いて、
「…よく判らないや」
 と言ってまた笑った。
 頭に置かれたままの手は緩やかに髪を梳く。
 長くエアコンの風に当たっていたそれは少しだけパサついていた。
「これからも、」
 少し俯いて、それでも片手で彼の服の裾をぎゅっと握って。
「これからも一緒にいれば、きっと判るわ」


  だから、傍にいさせて下さい。


 ふ、と髪を梳いていた手が離れ、肩を抱くように引き寄せられる。
 服の裾を握ったまま、上体を傾けて彼の胸に頭を預けた。
「…やっぱり、似てる」
「何処が?」
「すきだよ」
「……うん」



  私が彼を好きで、彼が私を好きであるという事。
  それはとても確かな事。
  そしてとても似通った想い。



「…私も、」
 好き、と。
 そう言う代わりに手を伸ばして触れた彼の髪も少しパサついていた。
















(サマー・ラヴァー)


二人とも夏は似合わない気がする。でも手は繋ぐ。らぶらぶ(…)