幸福なひとときというのは、例えばあめ玉を1つ舐める間の甘さに似ている。そのさなかには過ぎるとさえ感じられる甘さも、去ってみればそれは不思議な後味だけを残していく。 それは苦くもあり、また時に無味でもある。 それは幸福の余韻に似ている。 あの人の優しさは、例えるなら無尽蔵に与えられるあめ玉のようなものだと思う。いつまでもいつまでも、いっそおそろしくなるまでにずっと、ただ与え続けられるあの人の優しさ。あの人の優しさは残酷だ。そして私はそれを突き放すこともできない。 (そんな優しさなんていらない、と、) (言ったってあの人はきっと許すのだろうけれど) (……けれど、) (望んでいいとしたらきっと、私は望んでしまうのだと思う。) (たとえ、そう、) (それが誰のためにもならないとしても) (ワン・モア・ロリポップ) sadest, sweetest 掌編ともいえないくらい短い。“チョコレート〜”よりもっと短い。 “スイートスイートソロウ”の続き。むしろ裏側。 |