ただ、このままずっと変わらずにあることができればいいと思った。
 それが許されれば、きっと、何も哀しくも痛くも、怖くもないと思った。
 変化は常に恐怖だ。
 良くも悪くも、この瞬間を永遠に手離して、そうして訪れるものはどこまでも不確定な未来だ。
 変化なんてなければいい、と、願いながら、その願いが決して、叶うことのないように祈っている。
 私は愚かだろうか。
 少しでも長くこのぬるま湯のような日々に(そう、まるで幸福のような日々に、)浸っていたいと望むのは、愚かなことだろうか。
 変わりたいとも、変わりたくないとも思った。
 どっちでもいい。そう、本当に叶うのなら。
 どんな形であれ、あの人のそばにいることが許されるのなら。
(そして、そんな未来の訪れを、)
(私は今もって、正しく思い描けずにいる。)






(チョコレートミント・キャンディ)
sorrowful Mint blue




メモログを加筆修正。掌編ともいえないくらい短い。
“スイートスイートソロウ”の前置きのような、続きのような、破片のような。