綺 -twinkle-
 日々は色を失って久しく、季節の移ろいさえも沈黙を保っていた。
 春告げの花も咲かず、けれど冬に凝るでもない止まった世界。
 君はそれを美しいと言った。
 痛ましいまでに美しく、そして儚い。
 綺麗に笑う君の横顔を見て、それはまさに君の事だ、とぼんやりと思ったのを今でも覚えている。
 もう、随分前の話だけれど。

失ったものと同じような、残されたものの形。
二度と綺羅星には届かない。
『綺』という字を下さった方へおくります。