癒 -heal-
 差し伸べられた手は優しく、けれど離れる刹那には微かな痛みを残していった。
 やがて癒える傷は未だ、漣のように鈍く痛み続けている。
 それがあの人のあり方だった。
 とても不器用な、優しい人。

静かに続く、痛みと癒しの連鎖。
与えた痛みさえも、失った安らぎさえも、ただ愛すべきあの日々に。
樹様へおくります。